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シンプルな毎日〜雑感日記〜

都内在住の25歳リーマンが着飾らない日々の情報を発信します。

【乗車記】京阪間移動にゆとりを。プレミアムカー

大阪、京都、言わずと知れた西日本の大都市。

関西にお住いの方はもちろんですが、観光やビジネスで関西を訪れた方も京阪間を移動する機会は多いのではないでしょうか。従来京阪間は距離が短いこともあり、新幹線などを除けば有料の座席指定車両は一部を除き存在しませんでした。

 

しかし2017年に京阪鉄道が出町柳淀屋橋駅間でサービスを開始した。

今回の旅行ではその「プレミアムカー」の乗車記とそのサービスが生まれた背景や今後の展望を予想してみたい。

 

 

プラス500円で生まれる余裕

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座席の様子

まずは今回乗車したプレミアムカーの簡単な紹介を

 

・運行区間淀屋橋出町柳

・時間:55〜57分(淀屋橋出町柳

・価格:470円(運賃)+500円(プレミアムカー代)=970円(淀屋橋出町柳

 

主なサービスとしては下記の通りだ。

・コンセント

・無料WiFi

・PCも置ける大きなテーブル

・ラゲッジスペース

筆者は関東在住のため時々JRの普通列車のグリーン席を基準に考えてしまうのだが価格は京阪のプレミアムカーの方がリーズナブルだ。

・JRの普通列車のグリーン席は距離と乗車曜日により値段が変わるが、51キロ以上の場合(出町柳淀屋橋間の51.6キロをと比較のため)平日980円休日780円とやはり割高である。

 

もう一つ特筆すべき点はWiFiとコンセントである。PCやタブレットなどの充電を行い作業ができる点はかなり嬉しいポイントだ。まとまった約1時間の時間で作業を行いたいビジネスパーソンを意識したサービスなのだろうか。

 

座席自体はクライニングも充分である。前の席とのスペースもしっかりとあり足を伸ばしてゆっくり休むこともできる。

生まれた背景

さて、ではなぜこのようなプレミアムカーが生まれたのだろうか。

もちろんお金を追加で支払うことで「着席権」を買うという側面もあるだろう。関東の普通車グリーン席やライナーなどはこの側面が強いように思える。しかし、京阪電車の場合にはそうした「着席権」という側面よりは集客のための「付加価値」という側面があるように思える。

 

そもそも京阪間の旅客輸送は激戦区である。(京都側の終着駅が異なるので阪神間ほどではないが)熾烈な競争の中で京阪電車は苦戦を強いられていた。

京阪、阪急、JRである。

・時間

京阪:48分(淀屋橋祇園四条

阪急:43分(梅田〜河原町

JR:29分(大阪〜京都)

・価格

京阪:410円(淀屋橋祇園四条

阪急:400円(梅田〜河原町

JR:560円(大阪〜京都)

・アクセス

京阪:大阪側の起点は梅田から一駅離れた淀屋橋。路線も京阪間の輸送が主。

阪急:梅田の中心部に駅を持ち、京阪間輸送のみならず梅田駅では神戸線宝塚線へのアクセスも可能。

JR:広大なネットワークを有し、梅田の中心部に駅が位置する。

 

・JRは最も高いが、早く移動ができる。

・阪急は最も安く移動ができる。

このような棲み分けができると思う。

そして京阪は最も時間はかかるが、価格も阪急よりも10円高いというなんとも言えない状況になっているのだ。(参考までに、京都〜大阪間42.8キロ、河原町〜梅田間47.7キロ、祇園四条淀屋橋間48.6キロ)

 

このように京阪は時間においても、アクセス性においても不利な状況に置かれていたのである。個人的にはアクセス性(大阪側の駅の立地)が主要因であると感じる。淀屋橋駅周辺には大阪市役所や日本銀行大阪支店などが存在し、ビジネス街のど真ん中であることは確かだ。しかし人やモノが集まる梅田に駅を構えているという他の2社の優位性には及ぶことができないだろう。もちろん京阪は大阪中心部に他に北浜(周辺はビジネス街、金融街)や京橋(ターミナル駅)も存在するが、やはり梅田に駅がないという点で大きなハンデを背負っていると感じられる。

 

こうした文脈の中で「プレミアムカー」は誕生したのである。つまり、価格という土俵なら阪急に軍配があがる。時間という土俵ならJRに軍配があがる。そのような土俵で戦っても負けてしまう。そこで京阪は「プレミアムカー」という新しい自分の勝てる土俵を作ったのだ。

 

今後の展望

このプレミアムカーの登場後にJRでも有料の座席指定車両である「Aシート」が2018年3月姫路〜野洲間で開始した。

関西地区にはこのような文化が定着するかが不明瞭であったが、泉北ライナーや京阪の成功をみてサービスを開始したのではないだろうか。広大な路線網をもつJRの場合姫路〜野洲間という長距離でこのようなサービスがあれば顧客にとっては長時間ゆとりある移動が可能となり嬉しいかぎりだう。

一方京阪間輸送のさらなる付加価値の競争に進んでいくのか、もしくは沿線の宅地開発、集客施設建設、価格競争に進んでいくのだろうか、より一層目が離せなくなる。